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テレビを捨てよう

「全国ニュースのトップがなんで豊洲市場なんだよ」というような感覚は、テレビがない生活では発生しません。トンチンカンなコメントに腹が立つこともありません。テレビから離れるもう一つの大きなメリットは、早朝から仕事ができるようになることです。テレビを見ているヒマはないのです。

新卒で就職してから数年間、一人暮らしでしたがテレビは持っていませんでした。家族がいると「テレビは不要」で通すわけにもいきませんでしたが、家族と離れて単身で働いている現在は、再びテレビのない生活です。

引っ越しをすると必ず来るのがNHKですね。レオパレスに引っ越したときは、レオパレスはテレビが備え付けだ、と言って引き下がりませんでしたが、「自分で買って持ち込んだものではないし、電源もアンテナも完全に外して、クローゼットの奥にしまってある。絶対に見ない」と言ったらさすがに帰ってくれました。先日、裁判で同じ話(レオパレスを借りている人は受信料を払う義務はない)がありましたね。

今のアパートでは、テレビは持っていないと言ったら、携帯持ってますよね、と来ました。「そんなグレーゾーンであわよくばと思うものではないよ」と言ったら帰ってくれました。今度、ワンセグなしの格安スマホが出るようなので、もうこの手も使えませんね。

当初は、仕方なくテレビのない生活だったのですが、現在では意識してテレビから遠ざかるようにしています。競馬が好きなのですが、JRA(日本中央競馬会)のサイトでレースの15分後にはビデオが公開されるので困ることはありません。そもそも、競馬の時間(土日の15時台)は仕事中です。こちらがどんな状況でも、非同期に勝手に進行してくれるので、テレビに張り付いている必要がないのが競馬の良いところです(競馬場にはまた別の楽しさがありますが)。

ラーメン屋などで棚の上なんかにテレビがつけっぱなしになっていることがありますが、ワイドショー的な番組で取り上げている話、そのコメントなどを聞くにつけ「こりゃ見なくてよいモンだな」と思わされることが多いものです。ニュースなんかであっても、全国ニュースのトップが豊洲市場だったり、選択と切り口、説明内容などに疑問が残るものばかりです。

それに加えて、メディア各社のバイアスもあるので、結果的に見ていると腹の立つことばかりなわけです。夜の報道番組なんて最たるものですね。テレビさえ見なければ、「何でこの話しかしないのか!? あっちの方が大事だろ!」などと下らないことに腹が立つこともありません。

この「つまらんことに腹を立てることがなくなる」というのは、テレビを持たない最大のメリットだと思います。テレビを見て突っ込みどころを探したり、間違いを見つけて鬼の首でも取ったような気になったり、腹を立てたりしているヒマはないのです。気に入らないから電話で抗議するとか、もう正気の沙汰とは思えません。自分にとっての情報の重要度や優先順位をテレビという外部の存在に依存してはいけないのです。

もっとも、どこかにメディアを信頼したい、という気持ちが残っているが故の立腹である、という見方もないわけではありません。しかし、既にしてマスメディアは信頼すべき対象ではなくなってしまっていて、信頼すべき存在はインターネットで自分で見つけなくてはならないのですね(インターネットでどうやって自分にとって信頼できる情報を得るか、というのは大きなテーマですので別途)。

テレビのない生活のもう一つの大きなメリットが、早い時間から酒を飲んでさっさと寝てしまい早朝から仕事をする、なんてことがとてもスムースにできる、です。話題のドラマとかお笑いなどを見ていたりするとこうはいきません。

当サイトの二つ前のエントリーで「早起きして仕事せよ」(No.80 愛とは後悔しないこと。勝負は朝の10時についている)というのがありましたが、とにかく自然と早く起きられるようになる、というか起きてしまうようになるので心配ご無用です。

私の場合で恐縮ですが、まず確実に午前4時過ぎにトイレに起きてしまいます。その後、6時までをどう過ごすかです。たいていはもう1回寝てしまいますが、確実に2時間後にトイレに起きます。そういうわけで、遅くとも6時には自然に起きられます。

4時過ぎに起きたら、SNSを見たりメールをチェックしたりしつつ頭を覚醒させて、そのまま仕事に取り掛かり、その日のうちに終わるべきことは7時過ぎには終わっている(3時間集中して終わらないことってのはそうはありません)、という日もあります。

コーヒーを1杯飲んだだけの早朝の2時間の集中力たるや、昼飯の後などの比ではありません。ミスのない仕事が迅速に完了します。こうしておけば、夕方には安心して酒を飲み始められます。そして、早々に飲み終えて早寝して、また夜明け前に自然に起きるのです(飲み過ぎると破綻しますが)。

実は、この4時過ぎからの2時間は「夢」のゴールデンタイムでもあります(私だけかもしれませんが)。支離滅裂な夢や悪夢に近いものも多いのですが、なかなか深い内容を含んでいたりして、これはけっこう楽しみな時間帯でもあります。6時に起きたら、忘れないうちに(そこそこ覚えていれば)書き留めておきます。

以下、最近の「傑作」を一つだけ。

いたるところで、虫が闘いを繰り広げている。
大きな蚊に襲い掛かる数匹のコバエ、バッタのような昆虫に群がる蚊など、普段は闘わないような虫と虫が闘っている。敵に群がっているような闘いもあれば、1対1で相撲の立ち合いのようにぶつかり合って、お互いに針を刺し合っている、あるいは締め付け合っているような闘いもある。
私は、その闘いに向けて殺虫剤をひたすら噴射している。
すべての虫が1匹ずつ自由に飛んでいたら駆除には手間がかかるが、闘いに群がっていて、しかもそれに熱中しているので、まったく避けることも逃げることもない。
普段の数倍以上の効率で殺虫剤が虫に命中し、しかも噴霧された一部に触れるのではなく、ほぼ液体直撃で高濃度に浴びるので、虫は苦しむことなく即死していくのだった。

同じレイヤでの闘いに熱中するが故に別レイヤ(そもそもその存在に気付いていない)からの攻撃には無防備、というあたりが、いつのどんな体験から来たものなのかまったく見当が付きません。テレビに怒っている、あるいは熱中しているような状況が、ここで言うところの闘いであって、テレビを見ているだけでは分からないところで本当の危機が生じている、ということなのでしょうか?

時間は有限ですし、零細企業の社長の時間は貴重です。テレビに1日のペースを握られるのではなく、つまらないことに気を取られずに自分で時間の使い方を決めるために、そして情報の優先順位を自分で判断するために、まずはテレビを捨ててみることをお勧めします。

書名
会社をつくれば自由になれる
出版社
インプレス/ミシマ社
著者名
竹田茂
単行本
232ページ
価格
1,600円(+税)
ISBN
4295003026
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