3月15日は確定申告の期限である。自分の会社の決算は1-12月なので、法人税の納税期限は2月末日だ。そういうわけで毎年、私個人の確定申告も、会社の年次決算も、会計担当にお願いして2月のうちにすべて完了させるようにしている。税金も全部一括で払ってしまった(消費税も法人税も所得税・住民税など何もかも含めて一括で払ってしまえるほどの額に収めてある)。
この会社も個人も1-12月決算というのは便利である。会社を設立したのは3月だったが、初年度は2カ月短くして個人の確定申告が暦年であることに意図的に合わせたのが良かった。確定申告がギリギリになってテンパっていたら仕事でトラブル発生(この時期、インフルエンザとかもある)、などというのが一番困るので、余裕を持って終わらせるのが肝要だ。
2016年は、会社の新規事業として飲食店を開業したときの設備の費用等で発生した「欠損繰越金」(さすがに私の会社の規模で単年度黒字を維持しつつ店を出すのは難しい)を減らすために、自分の役員報酬を減らして会社の利益を多めにした。
欠損繰越金というのは、いつまでも繰り越せない、利益が出ないと増える一方で減らせない(これは洒落にならない)といったものなので、利益が出ているうちに相殺して、その年の法人税を最適化にする。欠損繰越金を遥かに超える利益が出てしまいそうなときは、ゴメンナサイ働き過ぎました、と罰金的に利益に応じた税金を素直に払うか、なんらか経費を使うか(例えば店をもう1軒、など)する。
自分のことは、役員報酬が少なくても自分の会社に「短期貸付金」(各種経費の精算や役員報酬等をいちいち受け取らずに会社に貸した状態にしてあるお金。会社のキャッシュフローの一部でもある)があるので、それを会社から少しずつ返済してもらえば(自分でATMで下すだけだが)、「小遣いには困らない」という状況を維持できる。ただし、役員報酬の変更ができるのは年に1回だけ、という点に注意が必要だ。
つまり、
・欠損繰越金があるときに会社の利益を出して、相殺して法人税を最適化(消費税は別)
・役員報酬を減らして、翌年の所得税、住民税等の個人の税金を最適化
ということが、自分の会社を持っているとできるわけで、これは脱税でもなんでもなくて、単に納税の最適化、あるいは年による納税額の変動を平準化(減るのはまだしも、増えるのはキツい)しているだけなのである。
そういうわけで、去年の私の収入(申告所得)は見かけ上は減ったので、傍目には「深刻所得」に見えるかもしれない、などというダジャレを言いたいがために、こんな駄文を書いているという側面はある。
しかし、こういうことを考えていると「法人税は減税」「消費税は増税」という今の世の中で進みつつあることは、まったくおかしな話であって、企業の内部留保が増える一方になるだけなのではないか、と思う。
・法人税を高くすると企業は税金を払いたくないので利益を出したくなくなる
・その結果、新規の事業投資や設備投資、あるいは人件費に回して金を使い、利益を圧縮しようとする
・設備や事業への投資は、世の中に金が回ることを意味する(潤う会社や取引先が増える)
・社員の給料が上がると、社員が個人で払う税額が増える(源泉徴収だが)し、何か買う気になるかもしれない
・消費税を下げると消費は拡大する(はず)
ということになると想定されるので、法人税の減税、消費税の増税というのは、ファクターは他にもたくさんあるにせよ、話が真逆なのではないかと思っている。
税金(社会保険や年金なども同様)というものについては、適正に使われないのは許せないというような論も目に付くが、私の場合は、払った(本来、納めたというべきではあれど)金がどう使われるかにはあまり興味がない。税金には、社会インフラへのアクセスであるとか比較的安全な社会など含めたもろもろへの参加料というか利用料的な側面があるので、法律や制度の枠内でちゃんと払うという前提で、できる限り最適化する、ということだけを考えている。
- 書名
- 会社をつくれば自由になれる
- 出版社
- インプレス/ミシマ社
- 著者名
- 竹田茂
- 単行本
- 232ページ
- 価格
- 1,600円(+税)
- ISBN
- 4295003026
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