起業時に重要なのは、「そこそこの数の顧客を抱える」ことにある。1社あたりの売上は小さくても構わない(むしろ妙に大きくないほうがいい)。結構な売上をたった1社から受注していて、他にお客がいない状態が一番怖い。当該の会社からの発注がなくなればイコール倒産ということになってしまう。実はこれに似た状態なのが「サラリーマン(給与所得者)」だ。
新入社員がいちばん最初にやってしまう勘違いは「自分は正社員になった、その会社の家族の一員なのである」と思ってしまうことだ(「家族経営」を標榜する経営者を私は基本的に信用していない)。違うのである。あなたが入社した会社はあなたにとっては「顧客」なのだ。「給与」と称せられ毎月定期的に振り込まれているものは実は「あなたが所属していると思っている会社からの売上」に該当する。そう考えると、「1社から売上の100%をあげている零細企業としての俺」がいかに不安定な状態かがわかるだろう。
最近はいわゆる副業禁止規定等が廃止の方向にある。これでアルバイトに精を出すことができる、2枚目の名刺だ!などと喜んではいけない。これは所属企業からの「期間を限定せずにあなたの面倒を見ることについて、もはや保障できない」という宣言に過ぎないからだ。そもそもアルバイトに精を出したら本業がおろそかになるに決まっている。コミットメントは時間の関数なので、あちこちにいい顔をするのは難しい。しかし法人格を別途作ってしまうとあら不思議、これができるようになる。私たちが起業を勧めるのはここに大きな理由がある。
- 書名
- 会社をつくれば自由になれる
- 出版社
- インプレス/ミシマ社
- 著者名
- 竹田茂
- 単行本
- 232ページ
- 価格
- 1,600円(+税)
- ISBN
- 4295003026
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