事業をしていると想定外な状況が起こったり、予想がぶれたり、いろいろなレベルの落とし穴に遭遇します。会社規模が小さいだけに大きな落とし穴だと這い上がってこられないこともあると思います。経営者は感度のよいアンテナを常に働かせて落とし穴を事前に察知するように心がけるのは基本中の基本なのですが、実際には危機に直面したときにどう振る舞うかが生死を分けます。
自分の体験談ですが、自社で先行投資して新築マンションのポータルサイトを開発し、順調に大手デベロッパーの掲載が増え、新築マンションのミニバブルという追い風も吹いてきて、順調に回り始めていたところにサブプライム問題が発生。さらにその後のリーマンショック。100年に1度といわれた金融危機で、取引先の大手デベロッパー40社のうち17社が倒産という事態に遭遇しました。
倒産した会社から売掛金が回収できない、倒産はなんとか免れた取引先も大規模なコストカットで契約解除が相次ぐ、という起業して以来の最大の危機でした。
危機になったら担いでいるものを捨てる
想定していた売上げが減少しはじめる、あるいは減少の兆しが見えてきたらとっとと退散することを考えるのが鉄則。体力のない小規模な企業は深追いは禁物です。とにかく担いでいるもの(固定費)や建前は生き残るために切り捨て、次の戦略へ視点を大胆に切り替えていくことが大事です。これができていなかったら当社も前述の危機の際に倒産していたと思います。
お金は貯められるけれど時間は貯められない
経営のリスクといっても、大抵のものはお金で解決できます。しかし、リスクと戦い続けた時間は取り戻すことができません。「時間は貯めることができない資産」という意識をもって大切に使うことを第一に考えるべきです。残された人生でやりたいことをするために起業したわけですから。
リスクとは戦わず原点に戻る
小規模な会社は死角も多いのでリスクに直面することも少なくないと思います。そして人間誰でも危機的な状況になると思考停止に陥りがちです。リスクに遭遇したら、真正面から戦わず、自分の気持ちを起業したときの原点に戻して、次の戦略を考えるために貴重な時間を使うという心構えが大切じゃないでしょうか。
- 書名
- 会社をつくれば自由になれる
- 出版社
- インプレス/ミシマ社
- 著者名
- 竹田茂
- 単行本
- 232ページ
- 価格
- 1,600円(+税)
- ISBN
- 4295003026
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