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会計事務所を上手に活用している経営者とは?

会計事務所やその担当者を上手に活用している経営者には、「対応が迅速で押しが強い」という共通点があります。会計業務の材料となる資料提出や質問への回答が素早く、いろいろな要望をどんどん伝えてくるのです。

会計事務所を上手に活用するには、どんなことが重要なのでしょうか? 我々を上手に活用している社長さんの顔を思い浮かべてみると、対応が迅速で押しが強いという共通点があることに気付きます。

まず、対応が迅速についてですが、我々社外の会計担当は会計資料が手元に来ないと仕事に着手することができないので、最も重要な要素です。まずは資料を決められた期日までに提出してもらい、疑問点などの問い合わせにも迅速に対応してもらえること。これが、会計を担当する立場としては、仕事を進めるための大前提なのです。

そうは言っても、本業が忙しくて資料の用意が遅れてしまうのは仕方のない事です。一番困るのは、資料作りにこだわりすぎて提出が遅れる社長さんです。実はこのタイプ、けっこう多く見受けられるのです。少しでも経営の内情を良く見せたいという見栄もあってのこととは思いますが、無駄と思えるほどに作り込んだ資料をじっくりと時間をかけて作成してしまうのです。

会計担当は社員ではないとはいえ、見栄を張る対象ではありません。また、数字を見れば内情はすぐに分かります。本来本業にかけるべき時間が勿体ないので、会計資料は、生の営業データや領収書の類をそのまま丸投げにしてでも、早く送付することを優先しましょう。会計担当の方が、それらを処理するスピードと正確さは確実に上です。

次に重要な要素は、押し(業務への要求)の強さです。遠慮がちであまり要求をしてこない社長さんは、会計事務所にとってはただの「楽なクライアント」となってしまいます。資金繰り表や経営シミュレーション資料の作成、節税対策の検討など、通常の会計処理・税務申告にプラスアルファの仕事を要求して、会計担当者をこき使いましょう。また、会計事務所には社会保険労務士(社労士)なども在籍していますから、会計や税務申告とは異なる分野の相談ごとも可能です。

これらの事を申し訳なく思う必要はまったくありません。実際、会計事務所の職員は同じ顧問料であっても「楽なクライアント」のルーチン業務はさくっと短時間で終わらせ、「押しの強いクライアント」の要望に業務時間の大半を費やしているのです。

普段から迅速に資料を用意して、クライアント側の責務は果たしているのです。むしろ会計事務所職員に成長の機会を与えているくらいの気持ちで、「これちょっとお願いしている業務範囲を超えるかな?」というようなことでも、笑顔でゴリ押ししましょう。

書名
会社をつくれば自由になれる
出版社
インプレス/ミシマ社
著者名
竹田茂
単行本
232ページ
価格
1,600円(+税)
ISBN
4295003026
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