「お店やってるんですよね? 今度、ビアガーデンのイベントがあって出店するんですが、一緒に何かやりませんか?」。
昨年暮れに見つけて、よく行くようになった地ビールとピザの店で飲んでいたら、その店のオーナーに話しかけられた。こういう話はとても有難い。すかさず「おっ、いいですね。ありがとうございます。ちょっと何を出せるか考えます」なんてことで、露店で売れるものを考え始めたところ、御殿場は美味いソーセージが手に入るから「ホットドッグか、、、?」と浮かんできた。屋外イベントに合いそうだし、ビールとの相性も抜群だ。
オーナー氏とも「じゃぁ、ホットドッグで行きますか。なんか良さそうですね」と合意して、翌日から試行錯誤を開始。イメージはあったものの、それをどう実現させるかは別問題。いろいろなところで良さそうなソーセージとパンを買ってきては、パンとソーセージの相性とバランスを確かめていったが、そもそもコンビニで良く見るようなサイズでは、いま一つ見た目のインパクトに欠けるし、手間は一緒なのに単価を上げられない。
そういうわけで、味を確認してソーセージはここにしようと決めた近所のハム工房に「サイズ指定の特注ソーセージを作ってもらえないだろうか?」と相談しに行った。ありがたいことに二つ返事で引き受けてくれたので、それをベースにソーセージに負けないしっかりした味わいのパンを組み合わせて「特注裾野ポークソーセージのBig Hotdog」が完成した。
イベント初日、売れるかどうか自信はなかったが、まさかの完売。3日間で予定数量を売り切り、予想外の大成功に終わった。
一人でやっている店だけに、イベント出店となれば店の方は臨時休業。売上は週末がメインであることを考えると、週末イベントへの出店には積極的になれないのが普通かもしれない。しかし、「お客さんが来るかどうかわからないところで待っているよりは、確実に人が集まるところに出張っていこう」と自分だけで判断して実行できるのも、一人でやっていればこそ。
オペレーションもこなれたし、素材調達も裏付けができたので、さっそくソーセージを追加注文して店でも出すようにした。持ち帰り可能な商品としても使える。イベント出店がなければ、特注ソーセージを注文できるとは知らないままだっただろうし、店でいきなり出すのはオペレーションや材料などいろいろな面で大変だ。なんでもやってみるものだ、と実感した。
話はFMラジオに変わる。土曜の朝9時といえば、NHK FMを聴くのが習慣になった。ギター・デュオのゴンチチがパーソナリティの「世界の快適音楽セレクション」という番組。最近では「いろんなジャンルの曲が沢山かかる」この番組を聴かなければ週末は始まらない、というくらいだ。
昔の「エアチェック(死語)時代」と違うのは、Webサイトに番組でかかった曲のデータが完備していること。「イイじゃん!」と思ったら、その場でアマゾンに行ってカートに入れられる。世の中、イイ音楽はまだまだ知らないところにいくらでもあると痛感するし、翌々日には手元に届くCDは1回聴いてイイと思ったものなので、外れなく「快適音楽の世界」が広がっていく状態が快適だ。
音楽というのは、普通にCDなどを再生して聴いている分には、自分が好きなものばかり聞くことになる。しかしラジオは、知らない世界をプッシュしてくれる。これを聞き流してしまうのもひとつだけれど、ちょっと提示された知らない世界をさらに探訪するのは悪くない。世界が広がるのは楽しいものだ。ま、これは本や酒などにも言えることだが。
なかなかモノを捨てられない、という精神構造にも同じようなことは言える。「大事だと思っていたモノ」が実はたいしたもんではなかったという場合は多い(私の場合、クルマとオーディオに顕著。アルファロメオはリースの国産SUVに、自作スピーカーとマッキントッシュは7000円のCDラジオになった)。そういうものを守る(束縛とも言う)ことよりも、新しい刺激にどう反応できるかを重視する方が面白さに遭遇する確率が高くなると思う。
人間は、「食ったことがないものは食わない」という人と「食ったことがないものを積極的に食ってみる」という人に分かれると思う。大げさに言えば、前者によって種が保存され、後者によって食が広がり種が生き延びた(痛い目に遭った人も多数だろうが)とは思うが、前者はそれで面白いのだろうか?
- 書名
- 会社をつくれば自由になれる
- 出版社
- インプレス/ミシマ社
- 著者名
- 竹田茂
- 単行本
- 232ページ
- 価格
- 1,600円(+税)
- ISBN
- 4295003026
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