会社を作ると、賃貸住宅に住んだり事務所を借りたりする際の自由度が高まります。通常は保証人を立てなければならないケースが多いものですが、法人契約にすることで「保証人、オレ」で済ませられるからです。別のエントリ(「会計・税務の工夫も起業すればこそ」)でも書いたように「一人会社の社長であっても、個人としての自分と法人格としての会社はまったくの別人格」だからです。
個人的な話で恐縮ですが、諸般の事情でファミリータイプの自宅マンションは賃貸に出して一人暮らしを始めて数年が経過しました。まずは、若い頃から一度住んでみたかった横浜中華街近くのワンルームマンションに引っ越して、自宅兼事務所としました。その後、富士山麓での飲食店開業に伴って御殿場の単身者向け家具付きアパート、さらに御殿場市内の東名高速御殿場インターチェンジ近くのアパートと、2年ちょっとの間に寝るところ(「住むところ」とはちょっと異なる感覚)は3回変わりました。
御殿場市内でインター近くに引っ越したのは、御殿場に来て1年半くらい経過して市内の様子も分かってきたところで、仕事で規定される行動パターンからすると御殿場インターの近くが最適ではないか、と考えたからです。具体的には、高速バスで東京(新宿)・御殿場を往復することが多いため、インター前のバス停に歩いて行けることを重視。それまでのアパートは、インターからクルマで15分程度のところだったので、バスを降りてからクルマで帰らなければいけません。バス(所要時間は約90分)に乗る前には仕事が終わってい新宿にいるわけですが、御殿場到着後の運転のために酒が飲めません。この状況がなかなかに辛いのでありました。
このように、通勤の都合や顧客の場所、あるいは自分の好きなところ、行動パターンに合った場所、家賃のコストダウンなど、さまざまな仕事やプライベートの都合に応じた住まいや事務所の選択が、会社があることでとても自由になります。法人契約と「保証人、オレ」という手が使えるようになることで、移転・転居の敷居をかなり低くすることができます。
また、「年を取ってから賃貸だと保証人とか面倒だし」などということを考えて無理して持ち家を買う、あるいは「生涯独身、家くらいはないと」といったような、持ち家が当然といった日本社会の呪縛から解放されるということも言えると思います。将来の不安への対応策の一つとして、家を買うよりは「自分の会社を作る」ことを検討すべきではないでしょうか。余談ですが、家を持たないと固定資産税(普通の物件で年に20万円など)もかかりません。
とはいえ、かなり改善されてきている面はあれど、大家優遇の商習慣が残っているのも事実です(入居してもらってナンボのはずなんですが)。賃貸では、多少は不愉快なこともあるかもしれません。でもそういうときは、あまり我慢せずに「保証人、オレ」でさっさと次に引っ越してしまえば良いのです。

- 書名
- 会社をつくれば自由になれる
- 出版社
- インプレス/ミシマ社
- 著者名
- 竹田茂
- 単行本
- 232ページ
- 価格
- 1,600円(+税)
- ISBN
- 4295003026
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